公益社団法人 民間総合調停センター(通称:「民調」)は、裁判所を介さずに民事上の紛争を解決するための機関です。
法務大臣から認証を受けた裁判外紛争解決機関(ADR機関)であり、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR促進法)」に基づき運営されています。
専門家団体、経済団体、消費者団体、自治体などが協力して設立・運営されており、公正・迅速・低費用での紛争解決を目指しています。
1.特徴的な和解あっせん手続
民調では、主に「和解あっせん手続」が行われます。
・専門家によるあっせん: 紛争の内容に応じて、弁護士をはじめとする様々な分野の専門家(司法書士、公認会計士、建築士、医師など)から、通常3名の和解あっせん人が選任されます。 あっせん人は、公平・中立な第三者の立場で双方の意見や事情を聴き取り、専門的知識を活用して、和解が成立するように支援します。
・非公開の手続: 手続は非公開で行われるため、紛争の内容が外部に漏れる心配がありません。
・低費用と迅速性: 申立手数料が比較的低額(原則1件1万円)であり、また、事案によりますが、手続き開始後、おおむね3回程度の期日(約3か月程度)で解決を目指します。
・本人申立ての可能: 弁護士などの代理人を選任せずに、ご本人自身で申立てを行うことも可能です。
・オンライン期日: ZoomやSkypeなどを利用したオンラインでの期日開催も可能です(2022年4月より)。
2.どのような紛争が利用できるか
民調は、民事上のあらゆる紛争の解決に利用できます。具体的な例としては、以下のような分野のトラブルに対応しています。
・消費者問題(欠陥商品、サービス等)
・建築紛争に関する問題
・境界に関する問題
・夫婦・親子間の問題
・労働問題
・医事紛争(医療過誤など)
・高齢者・障がい者に関する福祉の問題
3.所在地と連絡先(主要な拠点)
所在地: 〒530-0047 大阪市北区西天満1丁目12番5号 大阪弁護士会館内1階
電話番号: (06) 6364-7644
業務時間(受付・期日開催): 毎週月曜日~金曜日 午前9時~午後5時(土曜日、日曜日、祝祭日を除く)
4.民調を利用するメリット
裁判所での訴訟手続に比べて、低費用、迅速、そして非公開で、専門家の関与のもと、当事者間の話し合いによる柔軟な解決を目指せる点が大きなメリットです。
Ⅱ.和解あっせん手続
公益社団法人 民間総合調停センターが行う「和解あっせん手続」は、裁判所の訴訟とは異なる、柔軟で専門的な話し合いによる紛争解決(ADR)のプロセスです。
1. 制度の根拠と目的
2.手続の流れ(ステップ・バイ・ステップ)
ステップ 1: 申立て
・誰が申立てるか: 紛争の当事者(個人、法人、管理組合など)が申立人となります。
・申立方法: センター所定の申立書を作成し、必要書類を添えて提出します。
・費用: 申立手数料(原則1件 1万円)を納めます。
・内容の確認: センターが申立内容を確認し、和解あっせん手続の対象となるかを判断します。
ステップ 2: 相手方への通知と応諾
・通知: センターが相手方(被申立人)に対し、申立てがあった旨を通知し、手続に応じる意思があるか(応諾)を照会します。
・手続開始の条件: 和解あっせん手続は、原則として相手方の応諾があって初めて開始されます。
ステップ 3: 和解あっせん人の選任
・構成: 通常、3名の和解あっせん人が選任されます。
・選任される専門家: 紛争の内容に応じて、主に以下のような専門分野から選ばれます。
弁護士(必須の構成員となることが多い)
司法書士、公認会計士、税理士
建築士、不動産鑑定士、マンション管理士(マンション・建築紛争の場合)
医師(医事紛争の場合)など
・役割: あっせん人団は、公平・中立な第三者の立場で、当事者双方の意見や事情を聴き取り、事実関係を整理し、専門知識に基づいて解決案を提示・助言します。
ステップ 4: 期日(話し合い)の実施
・回数と期間: 事案によりますが、おおむね3回程度の期日で解決を目指します(手続開始から3か月程度が目安)。
・実施形式: センター内の会議室で行うのが基本ですが、ZoomやSkypeなどを利用したオンライン期日も可能です。
・進行:
当事者双方から、それぞれの主張や証拠を提示してもらいます。
あっせん人団が、必要に応じて双方に質問や確認を行います。
あっせん人団は、法律や専門知識に基づき、解決の方向性や提案を行います。
・非公開: 全ての手続は非公開で行われます。
ステップ 5: 和解の成立または不成立
・和解の成立: 当事者双方が、あっせん人団の提案や話し合いの結果に合意した場合、その内容をまとめた和解契約書を作成し、調印します。
この和解契約は、裁判上の和解と同様の強い効力を持つものではありませんが、民法上の契約として当事者双方を拘束します。
・和解の不成立: 合意に至らなかった場合、手続は終了します。当事者はその後、裁判所での訴訟など、他の解決手段を選択することができます。
3. 和解あっせん手続の費用(詳細)
注釈: 上記費用はあくまで一般的な目安であり、事案の複雑性や和解の価額によって変動する可能性があります。
Ⅲ.マンション関連のトラブル例
マンションは区分所有者間の権利関係や管理組合との関係など、複雑な問題が生じやすい場所です。民調では、専門家が公平な立場で介入し、円満な解決をサポートします。
(1)近隣関係・生活環境のトラブル
騒音・振動に関する問題(生活音、リフォーム時の音など)
ペット飼育に関する問題
悪臭やマナーに関する問題
(2)建物・設備に関するトラブル
漏水事故や雨漏りに関する問題(原因究明、損害賠償など)
共用部分(廊下、ベランダ、配管など)の利用や管理に関する問題
専有部分のリフォームや修繕に関する問題
(3)管理組合・費用に関するトラブル
管理費、修繕積立金の滞納に関する問題
大規模修繕工事の実施や費用分担に関する問題
管理規約の解釈や変更、総会の運営に関する組合員間のトラブル
(4)その他の主な紛争分野
消費者問題(欠陥商品、サービス等)
建築紛争に関する問題(上記マンションの修繕業者とのトラブル等も含む)
境界に関する問題
(5)マンション紛争への適用
マンションの紛争では、建築士やマンション管理士など、建築や管理の専門知識を持つ者と、法律の専門家である弁護士が和解あっせん人として関与することが特に重要になります。
民調では、紛争の性質に応じて、専門家(弁護士、司法書士、公認会計士、建築士、不動産鑑定士など)から3名の和解あっせん人が選任されます。
これにより、当事者間の感情的な対立を整理しつつ、技術的な問題や法律的な権利関係を踏まえた、実効性のある解決案の提示・合意形成を目指すことができます。
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