なぜ「役員選出細則」が必要なのか
多くの管理組合では、管理規約に「理事・監事は総会で選任する」といった大枠の定めしかなく、
立候補がない
同じ人が長年続けている
高齢・多忙を理由に担い手がいない
選出方法を巡って毎回揉める
といった問題が慢性化しがちです。
役員選出細則は、
「誰が」「どのように」「どの順番で」役員になるのかを
あらかじめ明確にし、感情論や場当たり的判断を防ぐためのルールです。
今回の役員選出細則は、基本となる管理組合運営を理解した上で検討すべきです。 まずは、「管理組合の総会・決議・理事会運営の基本(主軸)」をご確認下さい。
1.管理規約との関係整理が最重要
注意点
細則は管理規約に反する内容は定められない
規約に「役員数・任期・選任方法」が定められている場合、その具体化にとどめる必要あり
👉 先に管理規約の役員条項を必ず確認することが前提です。
これは
区分所有法第30条(規約事項)の趣旨に基づき、管理規約との整合を確保することが
不可欠です。
2.選出方法を明確にする(最大のポイント)
よくある選出方式
立候補制
推薦制
輪番制(住戸・区分所有者単位)
抽選制(補完的手段)
注意点
1つに限定せず、優先順位を明記する
例:
①立候補 → ②推薦 → ③輪番
「該当者がいない場合」を必ず想定する
👉 曖昧な書き方は、総会紛糾の原因になります。
3.「免除・辞退」の扱いをどうするか
実務上よく問題になるケース
高齢・病気
長期不在
既に複数回経験している
賃貸中・実質居住していない
細則で定めるべき点
免除事由を限定列挙する
自己申告か、理事会判断か
代替者の扱い(次順位へ回す等)
👉 免除を無制限にすると、結局「やる人がいない」状態になります。
4.区分所有者と居住者の扱い
注意点
原則は区分所有者が役員
例外として、配偶者等の居住者を認めるかどうか
認める場合は、
書面による同意
責任の所在(最終責任は区分所有者)
を必ず明記します。
5.外部所有者(賃貸住戸)の扱い
トラブルになりやすい点
実際に居住していない
連絡が取りにくい
管理への関心が低い
実務的整理
原則対象とするか
一定条件で免除するか
管理組合活動への協力義務を明記するか
👉 公平性と実効性のバランスが重要です。
6.役職ごとの要件を決めるか
例
理事長:過去に理事経験者
会計担当:会計経験者優先
監事:理事経験者または非理事
注意点は、
要件を厳しくしすぎると該当者がいなくなることです。
7.欠員・途中辞任時の対応
必ず定めるべき事項
補欠役員の選任方法
任期の扱い(前任者の残任期間か)
欠員や途中辞任が生じた場合の対応については、
管理規約および役員選出細則において、あらかじめ補欠役員の選任方法や任期の取扱いを
定めておくことが重要です。
8.細則は「罰」ではなく「仕組み」
役員選出細則は、
「やらされ感」を強めるためのものではなく、
負担を公平に分かち
誰かに偏らない
淡々と回る仕組みを作る
ためのものです。
強制色を出しすぎると、
管理組合運営そのものへの反発を招きます。
9.総会説明で必ず伝えるべき視点
なぜ今、細則が必要なのか
作らない場合のデメリット
全員が少しずつ負担する仕組みであること
👉 「誰かのため」ではなく「組合全体のため」である点を強調します。
10.役員選出細則(ひな型)
第1条(目的)
本細則は、〇〇マンション管理規約に基づき、管理組合役員(以下「役員」という。)の選出方法、資格その他必要な事項を定め、役員の選任を円滑かつ公平に行うことを目的とする。
第2条(役員の種別および員数)
役員の種別および員数は、管理規約の定めによるものとする。
第3条(役員の資格)
1.役員は、原則として区分所有者の中から選出する。
2.区分所有者の配偶者または同居の親族で、当該区分所有者の書面による同意がある場合は、役員となることができる。
3.前項の場合においても、役員としての最終的な責任は当該区分所有者が負うものとする。
第4条(選出方法)
1.役員は、次の各号の順序により選出する。
(1)立候補者
(2)理事会による推薦
(3)輪番による選出
2.前項各号の方法により必要数の役員が確保できない場合は、理事会の決議により、その他適切な方法を講ずることができる。
第5条(輪番制の方法)
1.輪番制は、住戸を単位として行うものとする。
2.輪番の順序は、別に定める輪番表による。
3.輪番表の作成および見直しは、理事会の決議によって行う。
第6条(免除および辞退)
1.次の各号のいずれかに該当する場合、役員就任を免除または辞退することができる。
(1)高齢、疾病その他やむを得ない事由がある場合
(2)長期間にわたり当該住戸を不在とする場合
(3)直近に連続して役員を務めた場合
(4)その他理事会が相当と認めた場合
2.免除または辞退の可否は、理事会の判断によるものとする。
第7条(外部所有者の取扱い)
賃貸中等により当該住戸に居住していない区分所有者については、理事会の判断により、役員選出の対象から除外することができる。
第8条(役職の選任)
1.理事長、副理事長、会計担当その他の役職は、理事の互選により定める。
2.必要に応じ、役職ごとの役割分担を理事会で定めることができる。
第9条(任期)
役員の任期は、管理規約の定めによるものとする。
第10条(欠員および補欠役員)
1.役員に欠員が生じた場合は、理事会の決議により補欠役員を選出することができる。
2.補欠役員の任期は、前任者の残任期間とする。
第11条(役員の解任)
役員の解任は、管理規約の定めに従い、総会の決議によって行う。
第12条(細則の改廃)
本細則の改廃は、管理規約の定めに従い、総会の決議によって行う。
〔附則〕
本細則は、〇年〇月〇日開催の総会の決議をもって施行する。
まとめ
管理規約との整合が最優先
選出方法は優先順位付きで明確に
免除・辞退は限定的に
実務で回る内容にすることが何より重要
役員選出細則は、
管理組合運営を属人的なものから制度的なものへ変える基盤です。
《参考》 役員就任のお願い 兼 役員就任承諾書(様式)
〇〇年〇月〇日
〇〇マンション
区分所有者 各位
〇〇マンション管理組合
理事長 〇〇 〇〇
役員就任のお願い
平素より、当マンションの管理運営にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
さて、当管理組合では、管理規約および役員選出細則に基づき、次期役員の選出を行っております。
その結果、貴殿(貴住戸)が次期管理組合役員の候補者となられました。
管理組合の運営は、区分所有者全員の共同の利益を守るために欠かせないものであり、
役員はその中心的な役割を担う重要な立場です。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、
趣旨をご理解のうえ、役員就任についてご承諾いただきますようお願い申し上げます。
なお、やむを得ない事情により就任が困難な場合には、
下記の「免除・辞退理由」欄にご記入のうえ、ご提出ください。
(※ 本件は区分所有法および当マンション管理規約・役員選出細則に基づくものです。)
記
役員就任承諾書
〇〇マンション管理組合 御中
私は、〇〇マンション管理規約および役員選出細則の内容を理解したうえで、
下記のとおり、管理組合役員への就任について回答いたします。
【該当するものに ☑ をしてください】
□ 役員就任を承諾します
□ 役員就任を辞退します
【役員就任を辞退(免除)する場合の理由】
(理由):
【対象住戸・署名欄】
住戸番号
区分所有者氏名 ㊞
連絡先(電話等)
記入日 〇〇年〇月〇日
※ 本承諾書は、〇〇年〇月〇日までに管理組合(または管理会社)へご提出ください。
※ 役職(理事長・会計担当等)は、就任後に理事間の互選により決定します。
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