管理計画認定制度における団地管理組合の判断基準 「区分所有法第68条」


複数の棟で構成される「団地型マンション」では、各棟ごとの管理だけでなく、団地全体をどのように管理するかがとても重要になります。

近年、国が進めている管理計画認定制度では、

「管理が適正に行われているか」「将来に向けた修繕や資金計画が整っているか」といった点が確認されます。

団地型マンションの場合、その判断の基準として重視されるのが、区分所有法第68条です。

区分所有法第68条は、

団地内の道路や駐車場、集会所など、棟を超えて利用する共用部分を、団地全体で管理するための基本ルールを定めています。

また、管理計画認定制度や長寿命化促進税制に関する制度全体の解説は、「管理計画認定制度(主軸ページ)」をご覧ください。



― 区分所有法第68条をどう読み、どう使うか ―


1.なぜ「区分所有法第68条」が重要なのか

管理計画認定制度では、「誰が」「どの範囲まで」「どのような手続きで」管理を決定しているかが厳しく確認されます。

特に団地型マンション(複数棟で構成されるマンション)では、

 各棟の管理組合

 団地全体の管理組合(団地管理組合)

の権限関係が曖昧なまま運営されているケースも少なくありません。

そこで法的な判断基準として軸になるのが、

👉 区分所有法第68条(団地管理組合)です。



2.区分所有法第68条の位置づけ

区分所有法第68条は、簡単に言うと次のことを定めています。

団地内に複数の建物がある場合でも、その共用部分等を一体で管理するため、団地全体の管理組合を設けることができる


ポイントは次の3点です。

団地管理組合は法律上、正式な管理主体」

任意団体ではなく、区分所有法に基づく管理主体であることが明確にされています。

② 対象は「団地共用部分」

団地管理組合が管理できるのは、

 団地内道路

 駐車場・集会所

 外構・緑地

 共用設備(受水槽・下水設備など)

といった棟を超えて共有される部分です。

👉 各棟専用の共用部分(廊下・エレベーター等)は、原則として各棟管理組合の権限です。

③ 規約と決議が前提

団地管理組合の権限行使には、

 団地管理規約の存在

 適正な総会決議

が必要で、「慣行」や「今までそうしてきた」は通用しません。



3.管理計画認定制度でチェックされる視点

管理計画認定制度では、団地管理組合について次の点が実質的に確認されます。

✔ 管理主体は明確か

 団地全体の長期修繕計画

 団地共用部分の修繕・更新

 管理費・修繕積立金の徴収

これらを団地管理組合が担っているのか、

それとも各棟管理組合がバラバラに対応しているのか。

👉 区分所有法第68条に基づく整理ができていないと、「管理体制が不明確」と判断されるリスクがあります。


✔ 団地管理組合の決議が法的に有効か

例えば、

 団地一括の長期修繕計画

 団地設備の大規模修繕

 団地修繕積立金の設定・改定

これらが団地管理組合総会で適正に決議されているかが重要です。

👉 第68条に基づかない「各棟の寄せ集め決議」では、認定審査で説明がつかないケースがあります。



4.よくあるNG例(認定でつまずきやすい)

❌ 団地管理組合はあるが、規約が未整備

❌ 団地長期修繕計画がなく、各棟計画のみ

❌ 団地共用部分なのに、特定棟が費用負担している

❌ 団地総会を開かず、棟代表者会議だけで決定している

これらはすべて、

「区分所有法第68条の趣旨とズレている」と判断される可能性があります。



5.団地管理組合が今、整理すべきポイント

管理計画認定を見据えるなら、最低限次の整理が必要です。

 団地管理規約は整備されているか

 団地管理組合総会は定期的に開催されているか

 団地共用部分と棟共用部分の区分が明確か

 団地としての長期修繕計画・資金計画があるか

👉 これらはすべて、区分所有法第68条を根拠に説明できる状態が理想です。



6.まとめ:第68条は「団地管理の設計図」

区分所有法第68条は、

単なる条文ではなく、”団地管理の“設計図”です。

管理計画認定制度では、

 その設計図どおりに

 管理主体が整理され

 権限と責任が明確になり

 合理的な管理運営が行われているか

が問われます。

団地管理組合にとって、

「第68条を理解しているかどうか」そのものが、

管理レベルの評価につながると言っても過言ではありません。




【管理計画認定制度と団地管理組合 Q&A】


Q1.管理計画認定制度って、団地マンションにも関係あるのですか?

はい、関係があります。

団地型マンション(複数棟で構成されるマンション)でも、一定の条件を満たせば管理計画認定を受けることができます。

ただし、団地の場合は

 どの管理組合が、どこまで管理しているのか

 その決定が法律に基づいているか

が特に重視されます。

その判断の土台になるのが、区分所有法第68条です。


Q2.区分所有法第68条とは、どんな法律ですか?

簡単に言うと、

団地内の共用部分を、団地全体で管理するためのルール

を定めた条文です。

団地では、

 各棟ごとの管理組合

 団地全体を管理する管理組合(団地管理組合)

が存在します。

第68条は、「団地管理組合は法律上きちんとした管理主体ですよ」と位置づけています。


Q3.団地管理組合は、何を管理する組織なのですか?

団地管理組合が管理するのは、棟をまたいで使う共用部分です。

例えば、

 団地内の道路や通路

 駐車場・駐輪場

 集会所

 外構や緑地

 団地全体で使う設備(受水槽など)

一方で、

 各棟の廊下

 エレベーター

 階段

といった棟専用の共用部分は、各棟の管理組合が管理します。


Q4.今まで各棟ごとに決めてきましたが、問題がありますか?

内容によっては問題になることがあります。

 団地共用部分に関することを、

 棟ごとの話し合いだけで決めている

 代表者だけで決めている

場合、法律上の根拠が弱いと判断される可能性があります。

管理計画認定制度では、

👉 「団地管理組合として正式に決めているか」

がチェックされるため、これまでのやり方を見直す必要が出てくることがあります。


Q5.団地管理組合の総会って、必ず開かないといけないのですか?

はい、重要なことを決めるには必要です。

例えば、

 団地全体の長期修繕計画

 団地共用部分の大規模修繕

 団地修繕積立金の金額や使い道

これらは、団地管理組合の総会で決議することが前提になります。

「今までは開いていなかった」という場合でも、

管理計画認定をきっかけに整備するケースは多くあります。


Q6.団地修繕積立金は、必ず必要なのですか?

団地共用部分がある以上、

将来の修繕費用を備える資金は必要になります。

管理計画認定制度では、

 修繕の計画があるか

 そのための資金の裏付けがあるか

が確認されるため、

団地としての修繕積立金や資金計画が求められることがあります。


Q7.団地管理組合の規約がない場合はどうなりますか?

そのままでは、認定手続きが難しくなる可能性があります。

団地管理組合の権限や手続きは、

 団地管理規約

 区分所有法第68条

をセットで説明できる状態が理想です。

多くの団地では、

👉 管理計画認定をきっかけに団地管理規約を整備しています。


Q8.認定を受けると、組合員にとって何が良いのですか?

主なメリットは次のとおりです。

 管理が適正に行われているマンションとして評価される

 将来の資産価値や流通面でプラスに働く可能性がある

 管理のルールやお金の流れが分かりやすくなる

団地管理組合の役割が整理されることで、

「誰が、何を、どう決めているのか」が見える化されます。


Q9.私たち組合員に、今すぐ必要な対応はありますか?

まずは、次の点を知っておくことが大切です。

 団地管理組合は法律に基づく正式な組織であること

 団地全体の共用部分は、団地管理組合で決めること

 その根拠が区分所有法第68条であること

具体的な手続きや準備は、

理事会や管理会社が中心になって進めますが、

組合員の理解と合意が不可欠です。






【区分所有法】

第68条 (規約の設定の特例)

次の物につき第66条において準用する第30条第1項の規約を定めるには、第1号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第2号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第34条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。

一 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属するものを除く。)

二 当該団地内の専有部分のある建物

2 第31条第2項の規定は、前項第2号に掲げる建物の一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての同項の集会の決議に準用する。



マンション管理支援21世紀研究会

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