マンションの資産価値を守り、将来にわたって快適な住環境を維持するためには、「管理の質」が非常に重要です。近年、その「管理の質」を客観的に評価する仕組みとして、「マンション管理適正評価制度」と「マンション管理適正化診断サービス」が注目されています。
名前が似ていて混同されやすいこの2つについて、違いやメリットを分かりやすく解説します。
1. マンション管理適正評価制度とは?
(運営:一般社団法人マンション管理業協会)
この制度は、マンションの管理状態を「星0〜5つ」のランクで評価し、その結果を公開する仕組みです。2022年4月からスタートしました。
評価の仕組み
5つのカテゴリー、計30項目で採点され、100点満点で評価されます。
1.管理体制: 管理組合の届出や管理規約の整備状況
2.管理組合会計: 収支予算・決算、管理費・修繕積立金の分別管理
3.大規模修繕計画: 長期修繕計画の作成、修繕積立金の積立状況
4.建物・設備: 法定点検の実施状況、履歴の保存
5.管理組合運営: 総会の開催、理事会の開催頻度
メリット
・資産価値の可視化: 中古市場で「管理が良いマンション」として適正に評価されやすくなります。
・改善点の明確化: どこが不足しているのかがスコアでわかるため、修繕計画の見直しに役立ちます。
2. マンション管理適正化診断サービスとは?
(運営:マンション管理士会)
こちらは、主に「共用部分の火災保険料」を適正化(割引)するために利用される診断サービスです。
診断の内容
マンション管理士などの専門家が現地を訪問し、管理状況(共用部分のメンテナンス状況や管理組合の運営状況)を診断します。
メリット
・保険料の割引: 診断結果が良好であれば、マンション総合保険の保険料が大幅に割引される(最大20〜30%程度)ケースがあります。
⇒このサービスは、日管連(一般社団法人日本マンション管理士会連合会)と日新火災が提携して提供しているものです。
診断主体: 日管連のマンション管理士
対象仕組み: マンション管理士が無料で診断を行い、その診断結果(S〜B評価)に基づき、日新火災が保険料を決定します。この「診断結果をそのまま保険料の算出に使う」というパッケージは日新火災のみの取り扱いです。
・専門家のアドバイス: 診断を通じて、建物の劣化状況やメンテナンスのタイミングについて専門的な助言が得られます。
3. 両者の比較まとめ
比較項目 マンション管理適正評価制度 マンション管理適正化診断サービス
主な目的 管理状態の格付け・資産価値向上 保険料の算出・割引適用の判断
運営主体 マンション管理業協会 マンション管理士会など
評価方法 5段階の星(ランク)表示 診断レポートによる判定
結果の公開 協会のサイトで公開(任意) 非公開(保険契約や内部資料として利用)
メリット 売買価格への好影響、透明性の確保 管理組合の経費削減(保険料ダウン)
4. どちらを活用すべきか?
結論から言えば、「両方活用すること」をおすすめします。
「適正評価制度」でマンションのブランド力を高め、将来の売却や賃貸に備える。
「適正化診断サービス」で固定費である保険料を削減し、浮いたお金を修繕積立金に回す。
このように使い分けることで、管理組合の財務改善と資産価値向上の両立が可能になります。
ワンポイント:
自治体の「認定制度」との違い
これら2つとは別に、自治体が実施する「マンション管理計画認定制度」もあります。こちらは「最低限の基準を満たしているか」を認定するもので、評価制度(星付け)よりも「合格・不合格」に近い性質を持っています。
管理組合の理事会などで、「まずは保険料を安くしたい」という話があれば診断サービスから、「マンションのステータスを上げたい」という話があれば評価制度から検討を始めてみてはいかがでしょうか。
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