― 管理不全マンション対策として創設された新しい支援制度 ―
近年、マンションの高経年化と区分所有者の高齢化により、総会が開催されない、役員のなり手がいない、長期修繕計画が見直されていないなど、いわゆる管理組合が十分に機能しない「管理不全マンション」が社会問題となっています。こうした状況に対応するため、国は法改正を行い、管理組合を専門的に支援する新しい制度を創設しました。それが「マンション管理適正化支援法人」です。
本制度は、改正された
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
(マンション管理適正化法)に基づき、地方公共団体が指定する法人が、管理組合の運営やマンション管理の改善を支援する仕組みです。
本サイトでは、マンション管理適正化支援法人の役割や制度の仕組みについて解説します。
1 マンション管理適正化支援法人とは
マンション管理適正化支援法人とは、地方公共団体の指定を受けて、管理組合の運営やマンション管理の改善を支援する法人です。
背景には、次のような問題があります。
・管理組合が機能していない
・理事のなり手不足
・修繕積立金不足
・長期修繕計画がない
・総会が開催されていない
このようなマンションを放置すると、建物の劣化や防災・衛生面の問題が発生し、周辺地域にも影響を及ぼす可能性があります。
そのため行政だけでは対応しきれない部分を、専門的知見を持つ法人が支援する制度として創設されました。
2 制度の位置付け
マンション管理適正化支援法人は、地方公共団体が進めるマンション政策の実務を支える役割を担います。
関連する制度には次のものがあります。
マンション管理適正化推進計画
(自治体が策定)
マンション管理計画認定制度
管理不全マンションへの指導・助言
これらの施策を実効性のあるものにするため、実務支援の担い手として支援法人が位置付けられています。
3 支援法人が行う主な業務
マンション管理適正化支援法人は、主に次のような業務を行います。
(1)管理組合への相談対応
管理組合からの相談に対して専門的助言を行います。
例
・管理組合の立て直し
・総会運営
・長期修繕計画
・修繕積立金の見直し
(2)管理不全マンションへの支援
自治体と連携し、管理が機能していないマンションの改善を支援します。
例
・管理組合の設立支援
・総会開催の支援
・規約整備
・管理会社の選定支援
(3)専門家の派遣
マンション管理士や建築士などの専門家を派遣し、具体的な改善支援を行います。
(4)調査・情報提供
地域のマンションの管理状況を把握し、必要な情報提供を行います。
4 支援法人になれる団体
支援法人は、地方公共団体が指定します。
対象となる主な団体は次のような法人です。
・一般社団法人
・一般財団法人
・NPO法人
・公益法人
ただし、マンション管理に関する知識や実績があることなどが指定の条件となります。
5 管理組合にとってのメリット
管理組合にとって、この制度には次のようなメリットがあります。
① 中立的な専門支援を受けられる
管理会社とは異なる立場で助言を受けることができます。
② 管理不全の予防につながる
問題が深刻化する前に改善することが可能になります。
③ 自治体との連携が取りやすくなる
自治体施策の窓口として活用できます。
6 今後のポイント
今後、日本では
・マンションの高経年化
・区分所有者の高齢化
・空き住戸の増加
が進み、管理組合だけでは対応が難しいケースが増えると考えられています。
そのため、
行政+専門家+管理組合
という新しい支援体制の中で、マンション管理適正化支援法人の役割は今後さらに重要になると考えられます。
まとめ
マンション管理適正化支援法人は、自治体の指定を受けて管理組合を支援する法人であり、管理不全マンションの予防・改善を目的とした制度です。
今後は、
・管理計画認定制度
・管理不全マンション対策
とともに、マンション政策の重要な柱として活用が進むことが期待されています。
マンション管理適正化支援法人Q&A(よくある質問)
Q1
マンション管理適正化支援法人とは何ですか。
A
マンション管理適正化支援法人とは、地方公共団体の指定を受けて、マンションの管理組合を支援する法人です。
制度は
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
(マンション管理適正化法)に基づき創設されました。
主な役割は次のとおりです。
・管理組合の相談対応
・管理不全マンションの改善支援
・専門家の派遣
・マンション管理に関する情報提供
管理組合の運営が難しくなったマンションを支援するための制度です。
Q2
支援法人はどのような団体がなるのですか。
A
地方公共団体が指定する法人で、主に次のような団体が想定されています。
・一般社団法人
・一般財団法人
・公益法人
・NPO法人
指定を受けるためには、マンション管理に関する専門知識や実績があることが条件になります。
Q3
管理会社と何が違うのですか。
A
役割と立場が異なります。
項目 支援法人 管理会社
立場 中立的な支援機関 管理業務の受託者
契約 必ずしも管理委託契約は不要 管理委託契約が必要
主な役割 助言・支援 日常管理業務
管理会社は日常の管理業務を担いますが、支援法人は管理組合の運営改善を支援する立場です。
Q4
どのようなマンションが利用する制度ですか。
A
特に次のようなマンションで活用が想定されています。
・管理組合が機能していない
・総会が長年開催されていない
・理事のなり手がいない
・修繕積立金が不足している
・長期修繕計画がない
いわゆる管理不全マンションの予防・改善が主な目的です。
Q5
管理組合が相談すると費用はかかりますか。
A
費用の有無は自治体や支援内容によって異なります。
一般的には
・初期相談は無料
・専門家派遣は有料または補助制度あり
というケースが多いと考えられています。
Q6
支援法人は全国にありますか。
A
制度自体は全国で利用可能ですが、支援法人の指定は自治体ごとに行われます。
そのため
・自治体によってはまだ指定されていない
・今後指定される予定
という地域もあります。
Q7
管理組合が直接依頼できるのですか。
A
自治体の制度によって異なりますが、一般的には
・自治体を通じて相談
・支援法人へ直接相談
のどちらかの方法になります。
まずは自治体のマンション担当部署へ相談するのが確実です。
Q8
管理計画認定制度とは関係がありますか。
A
はい、関係があります。
支援法人は、次のような制度の実務支援を担うことが想定されています。
・マンション管理計画認定制度
・マンション管理適正化推進計画
例えば、
・認定取得の準備
・管理体制の改善
・書類整備
などの支援を行うことがあります。
Q9
管理組合が利用するメリットは何ですか。
A
主なメリットは次のとおりです。
①中立的な専門家の助言を受けられる
②管理不全を予防できる
③自治体の制度を活用しやすくなる
④管理組合運営の改善につながる
特に、理事の担い手不足が深刻なマンションでは重要な支援制度になると考えられています。
Q10
今後この制度は広がるのでしょうか。
A
国は、管理不全マンションの増加を社会問題と位置付けており、今後この制度の活用は拡大すると考えられています。
特に次の分野で重要性が高まると見られています。
・管理不全マンション対策
・高経年マンションの管理支援
・自治体のマンション政策の実施
マンション管理適正化支援法人は、管理組合の運営を専門的に支援する制度であり、今後のマンション管理政策の重要な柱の一つとされています。
管理組合が機能しなくなる前に、こうした支援制度を活用することが、マンションの資産価値と安全性を守るうえで重要になります。
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