― 第23条・第32条・第64条のポイント ―
マンションの管理水準を評価する管理計画認定制度では、管理組合の運営体制だけでなく、管理規約の内容が適切に整備されているかも重要な審査項目となります。
特に国の基準では、標準管理規約に基づく条文が管理規約に定められているかがチェックされます。
具体的には、以下の条文で、これらの条文は、マンション管理の透明性や維持管理の円滑化を支える基本ルールといえます。本サイトでは、管理計画認定制度の審査で確認されるこれらの条文の内容と、その重要性について分かりやすく解説します。
第23条(必要箇所への立入り等)第4項
第32条(業務)第6号
第64条(帳票類等の作成、保管)第3項
これらは一見細かな条文ですが、マンション管理の透明性・安全性を確保する重要な規定です。
以下で、それぞれの条文の意味とチェックされる理由を解説します。
本サイトは【法制度×管理規約】に関する個別テーマの解説です。
制度や考え方の全体像は、
「マンション管理の法律と管理規約の基本と最新改正(主軸)」をご覧ください。
1 第23条第4項(必要箇所への立入り等)
専有部分への立入りルール
条文の趣旨
標準管理規約では、共用部分の点検・修繕のために、必要な場合は専有部分へ立ち入ることができるとされています。
第4項では特に次の点が規定されています。
「区分所有者は正当な理由がない限り立入りを拒むことができない」
なぜ認定制度でチェックされるのか
マンションでは次のような設備が専有部分内を通っていることがあります。
給排水管
消防設備
ガス配管
インターホン設備
これらの点検・修繕の際に立入りができないと、
大規模修繕ができない
漏水事故の原因になる
設備更新ができない
といった問題が発生します。
そのため、管理上必要な立入りを確保する規定があるかが確認されます。
⇒【標準管理規約】
(必要箇所への立入り等)
第23条 前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分若しくは専用使用部分への立入り又は自らこれに保存行為を実施することを請求することができる。
2 前項により立入り又は保存行為の実施を請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
3 前項の場合において、正当な理由なく立入り又は保存行為の実施を拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
4 前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施をしなければ、共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、自らその専有部分又は専用使用部分に立ち入り、又は保存行為を実施することができる。この場合において、理事長は、委任した者にこれを行わせることもできる。
5 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。
2 第32条第6号(業務)
管理組合の基本業務の明確化
条文の趣旨
第32条は、管理組合が行う業務内容を定めた条文です。
その中の第6号では、
「帳票類等の作成・保管に関する業務」
が管理組合の業務として明確化されています。
なぜ重要なのか
マンション管理では多くの重要書類が発生します。
主なものは次のとおりです。
総会議事録
理事会議事録
会計帳簿
契約書
修繕履歴
点検記録
これらを適切に管理しないと、
過去の修繕履歴が分からない
会計の透明性が低下する
管理会社任せになる
といった問題が発生します。
そのため、管理組合が自ら管理する業務として位置付けているかが確認されます。
⇒【標準管理規約】
(業務)
第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
二 組合管理部分の修繕
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
四 マンション再生等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適
当であると認められる管理行為
九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
十 修繕積立金の運用
十一 官公署、町内会等との渉外業務
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
十三 広報及び連絡業務
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務
3 第64条第3項(帳票類等の作成・保管)
管理情報の開示ルール
条文の趣旨
第64条では、管理組合の書類管理について定めています。
第3項では次の内容が規定されています。
「区分所有者は、管理組合の帳票類の閲覧請求ができる」
つまり、組合員には管理情報を確認する権利があるということです。
管理計画認定制度での意味
この規定があることで、次のことが可能になります。
管理の透明性の確保
理事会運営のチェック
不適切な支出の防止
情報公開による組合員参加
近年は、管理不全マンション問題の原因として
情報非公開
会計の不透明化
理事会の閉鎖的運営
が指摘されています。
そのため、帳票類の閲覧制度があるかが確認されます。
⇒【標準管理規約】
(帳票類等の作成、保管)
第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳その他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、第32条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
まとめ
管理計画認定制度が求める管理ルール
管理計画認定制度では、次のような基本的な管理ルールが管理規約に定められているかが確認されます。
条文 内容 管理上の意味
第23条4項 専有部分への立入り 点検・修繕を可能にする
第32条6号 管理組合の業務 書類管理の責任を明確化
第64条3項 帳票類閲覧 管理の透明性確保
これらはすべて、マンション管理の基本インフラとなるルールです。
特に古いマンションでは、
規約が改正されていない
閲覧規定がない
書類管理の規定が不十分
というケースも少なくありません。
管理計画認定を目指す場合は、標準管理規約に沿った規約整備を行うことが重要です。
0コメント