管理組合が設置されていない分譲マンションへの対応


Ⅰ 管理組合設立(組織化)の必要性について

 管理組合が設置されていない分譲マンションの区分所有者の方へ、区分所有に関する基本的な知識と、建物を今後も安全に、そして円滑に維持管理していくための重要な課題についてご説明いたします。


 マンションの将来対応は、法制度と管理組合運営の両面から考える必要があります。

管理組合の意思決定の基本については、

「管理組合の総会・決議・理事会運営の基本」をご覧ください。




1. 管理組合はすでに存在しています(法律上)

 「管理組合がない」場合でも、区分所有法上、建物はすでに「区分所有者全員で構成する団体」を持っています。

 ▲区分所有法上の組合


したがって、課題は「管理組合を作ること」ではなく、「法律で定められた団体を適切に組織し、活動させること」です。


* 区分所有法 第3条

(区分所有者の団体)

第3条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。



2.管理組合を組織化しないことの重大なリスク ️

 活動実態のない状態(未組織)を続けると、特に老朽化が進む旧耐震建物において、以下のような重大な問題が発生します。

▲具体的問題点



3. 管理組合を組織化することのメリット(設立の必要性) 

管理組合を組織化し、規約を定め、管理者を選任することで、上記のリスクを回避し、建物を適切に管理できるようになります。

▲組織化のメリット



4. 組織化の次のステップ:規約の設定と管理者の選任

 現在の未組織の状態から、管理をスタートさせるために、以下のステップが必要です。

集会の招集 :公社または区分所有者が、建物管理に関する事項を議題として集会を招集します。

規約の設定 :区分所有者および議決権の4分の3以上の賛成で、「管理規約」を設定します(区分所有法第31条)。

管理者の選任:規約に基づいて、管理組合の運営を担う管理者(理事長など)を過半数の賛成で選任します。


*区分所有法 第31条

(規約の設定、変更及び廃止)

第31条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

2 前条第2項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。




Ⅱ Q&A:分譲マンションと賃貸マンションの「管理」に関する決定的な違い

 分譲マンションの区分所有者が、日々の管理活動をより主体的に行うために、分譲と賃貸の「管理」に関する違いをQ&A形式で整理します。


Q1. 建物全体の「所有者」は誰ですか?

A1. 決定的に異なります。

分譲マンション(区分所有): ご自身の専有部分(部屋)の所有権に加え、**廊下や外壁などの共用部分や敷地を、他の区分所有者と「共有」**しています。建物全体を所有者全員で分けて持っている状態です。

一棟賃貸マンション: 建物全体を、オーナー(所有者)一人が所有しています。入居者(賃借人)は部屋を借りているだけで、所有権はありません。


Q2. 「管理の主体」は誰ですか?

A2. 管理を行う責任と権限を持つ主体が異なります。

分譲マンション(区分所有): **区分所有者全員で構成される「管理組合」**が管理の主体です。管理会社は、管理組合から委託を受けて業務を代行しているにすぎません。

一棟賃貸マンション: オーナー、またはオーナーが選任・委託した管理会社が主体となって管理を行います。


Q3. 建物に対する「所有者の意識」はどのように違いますか?

A3. 意識の持ち方が管理の適正化を左右します。

一棟賃貸マンションのオーナーの認識: 「全部自分の建物だから、自分が何とかしなきゃ」という責任感が伴います。

分譲マンションの区分所有者の持つべき正しい認識: 「全部自分たちの建物だから、自分たちが何とかしなきゃ」という共有者としての責任感です。


Q4. 分譲マンションで「間違った認識」とは何ですか?

A4. 「他人任せ」の意識が、管理不全の最大のリスクです。

分譲マンションの区分所有者の中には、「自分の部屋の室内以外は自分とは関係ない」「他人(管理組合や管理会社)が何とかしてくれる」と考えてしまう方がいます。

これは、賃貸マンションの賃借人(部屋を借りている人)の意識と同じであり、共有者である分譲マンションの区分所有者としては誤った認識です。この意識の低さが、マンションの管理不全を招く原因となります。


Q5. 分譲マンションの区分所有者に求められる「責務」は何ですか?

A5. 「所有者であることの責任」を果たすことです。

改正区分所有法では、区分所有者は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならないと定めています(第5条第2項)。


改正区分所有法 新設

(区分所有者の責務)第5条の2

区分所有者は、第三条に規定する団体の構成員として、建物並びにその敷地及び附属施設(同条後段の場合にあつては、一部共用部分)の管理が適正かつ円滑に行われるよう、相互に協力しなければならない

マンション管理支援21世紀研究会

住環境の向上、地域コミュニティ活動の支援、健全で安心なまちづくりの推進を通じて公益の増進に寄与することを目指します。 マンション管理支援21世紀研究会 は、マンションの管理組合や住民のみなさまに対して、わかりやすく中立的な情報を提供することを目的としています。 専門知識に基づいた管理提案、制度の解説、最新の動向(EV充電設備補助金制度など)など、管理組合の運営に役立つ情報をお届けします。

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