今回の注意点
【1】区分所有法改正に伴い、現行管理規約が失効する条文がある。
【2】 改正区分区分所有法に追加されたため、標準管理規約に新規記載された条文がある。
1.なぜ改正が必要なのか
近年、マンションでは「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」が同時に進んでおり、外壁の剥落などの危険や、管理組合の合意形成が難しくなるといった課題が増えています。
全国で築40年以上のマンションは約137万戸に達し、今後20年で約3倍に増える見込みです。
こうした状況を踏まえ、国は“新築から再生まで”マンションのライフサイクル全体を見通した法整備を行いました。
2.改正のポイント(3本柱)
【1】管理の円滑化(マンション管理法・区分所有法)
・分譲時からの管理体制を明確化
→ 分譲事業者があらかじめ管理計画を作成し、管理組合へ引き継ぐ仕組みを新設。
・集会決議をしやすく
→ 修繕など「所有権処分を伴わない事項」は、**出席者の多数決(過半数)**で決議可能に。
→ 所在不明者は決議の母数から除外できるように。
・利益相反の防止
→ 管理会社が理事長などを兼ねて工事を受注する場合は、事前に区分所有者へ説明義務を課す。
・財産管理制度の新設
→ 管理不全のマンションは、裁判所が選任した「管理人」が専有・共用部分を管理できる制度を創設。
【2】再生の円滑化(区分所有法・マンション再生法)
・新しい再生手法の導入
→ 建物・敷地の一括売却や一棟リノベーション、取壊しを建替えと同様に
・多数決(原則4/5、耐震不足なら3/4、災害被災なら2/3)で決議可能に。
・隣地を取り込んだ建替えが可能に
→ 隣接地の権利を新しいマンションの区分所有権に変換できるように。
・高さ制限の特例
→ 耐震性不足による建替えなどの場合、行政の許可で高さ制限を緩和できる制度を創設。
【3】地方自治体・民間団体の役割強化(マンション管理法・再生法)
・危険なマンションへの対応強化
→ 外壁剥落など危険な状態にあるマンションに対し、自治体が報告徴収・勧告・あっせんを実施可能に。
・民間団体の登録制度
→ 区分所有者の意向調査や合意形成支援を行う民間支援団体の登録制度を新設。
3.改正の効果と目標(KPI)
項目 現状(令和6年度) 目標(おおむね10年後)
管理計画認定の取得割合 約3% 20%へ引き上げ
再生・建替え等の件数 472件 約1,000件へ倍増
危険マンションの削減 外壁剥落等の事例あり 10年後にほぼ解消
4.施行時期
公布:令和7年5月30日
施行:公布から6か月以内(令和8年4月1日までに順次施行)
管理計画認定の拡充:公布から2年以内
5.まとめ
この改正により、
管理不全への「早期対応」、合意形成の「しやすさ」、再生・建替えの「選択肢拡大」
が実現します。
管理組合としては、今後の改正内容を踏まえ、
管理規約や運営体制の見直し、再生への準備を進めていくことが重要です。
国土交通省 資料
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