管理費・修繕積立金はこうして決まる!

マンションの管理費と修繕積立金は

「なぜ毎月この金額なの?」という疑問にお答えます。


マンションに住んでいると、毎月当たり前のように支払っている管理費と修繕積立金。

しかし、

 なぜこの金額なのか

 誰が、どんな基準で決めているのか

 将来、増えることはあるのか

を正しく理解している方は、実は多くありません。

 今回、管理費と修繕積立金が「どのような考え方で決まっているのか」を、できるだけ分かりやすく解説します。


1.管理費とは何か? ―「今の暮らし」を支えるお金

管理費の役割

管理費は、マンションの日常生活を維持するための費用です。

具体的には、次のような支出に使われています。

 管理員人件費

 管理会社への委託費

 共用部の清掃費

 エレベーター・消防設備等の保守点検費

 共用部の電気・水道代

 理事会・総会運営費 など

ポイント

管理費は「毎年・毎月必ず発生する費用」をまかなうためのお金です。



2.管理費はこうして決まる

① 管理内容から積み上げて決まる

管理費は、まず

「どんな管理をするのか」を決めるところから始まります。

例:

 管理員を常駐させるか、巡回にするか

 清掃は週何回行うか

 管理会社にどこまで業務を委託するか

これらをもとに、年間の管理コストを算出します。


② 年間コスト ÷ 全住戸数(または専有面積)

算出された年間管理費を、

 住戸数割

 専有面積割

など、規約で定めた方法で各区分所有者に配分します。

管理費は「相場」ではなく、マンションごとの管理内容によって決まるのが基本です。



3.修繕積立金とは何か? ―「将来への備え」のお金

修繕積立金の役割

修繕積立金は、建物と設備を長く安全に使い続けるための資金です。

主な使途は、

 外壁塗装・防水工事

 屋上・バルコニー防水

 給排水管更新

 エレベーター更新

 将来的な性能向上改修 など

今は使わないが、将来必ず必要になる工事のためのお金が修繕積立金です。



4.修繕積立金はこうして決まる

① 長期修繕計画が「土台」

修繕積立金の金額は、長期修繕計画をもとに決められます。

長期修繕計画では、

 今後30年程度で

 どの時期に

 どんな工事が

 いくら必要か

を見える化します。


② 必要総額 ÷ 積立期間

長期修繕計画で算出された修繕費総額を、何年でどれだけ積み立てるかを検討し、毎月の積立額を決定します。


③ 段階増額積立方式・均等積立方式

修繕積立金には、主に次の方式があります。

 方式             特徴

段階増額積立方式       当初は低く、将来引き上げていく

均等積立方式         最初から将来を見据えた金額

近年は、将来の急激な値上げを避けるため「均等積立方式」への見直しが重視されています。



5.管理費・修繕積立金の法的根拠

■ 区分所有法 第3条(区分所有者の団体)

【条文趣旨】

区分所有者は、建物・敷地・附属施設の管理を行うため、管理組合を構成する。

【実務ポイント】

・管理費・修繕積立金は

 👉 個人と管理会社の契約ではなく

 👉 管理組合という「団体の意思決定」に基づく費用

・管理組合が存在する以上、管理費等の負担は前提


【区分所有法】

(区分所有者の団体)

第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。



6.費用負担義務の根拠条文

■ 区分所有法 第19条(共用部分の負担)

【条文要旨】

各区分所有者は、その専有部分の床面積の割合に応じて、共用部分の管理に関する費用を負担する。

【実務ポイント】

・管理費・修繕積立金の支払義務の直接根拠条文

・負担割合の原則は専有面積割合(持分割合)

・規約で別の定めがあれば、規約が優先(均等割・用途別設定など)


【区分所有法】

(共用部分の負担及び利益収取)

第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。



7.修繕積立金も「管理費用」に含まれる理由

■ 区分所有法 第2条第5項(管理の定義)

【条文要旨】

「管理」とは、共用部分等の保存・維持・改良をいう。

【実務ポイント】

 大規模修繕

 設備更新

 性能向上改修

はすべて「管理行為」に該当。

修繕積立金は、区分所有法上「管理のための費用」←任意積立ではない。


【区分所有法】

(定義)

第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。

2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。

3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しな建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。

5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定より建物の敷地とされた土地をいう。

6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関す権利をいう。




8.管理費・修繕積立金の金額を決める権限

■ 区分所有法 第30条(規約)

【条文要旨】

建物又は敷地等の管理に関する事項は、規約で定めることができる。

【実務ポイント】

管理費・修繕積立金の

 ・金額

 ・算定方法

 ・負担区分

は、管理規約に基づく。

規約に根拠のない徴収は不可。


【区分所有法】

(規約事項)

第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。

2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。

3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。

4 第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。

5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。



9.金額変更には「総会決議」が必要

■ 区分所有法 第31条(規約の設定・変更)

【条文要旨】

規約の設定・変更は、集会の特別決議による。

【実務ポイント】

 修繕積立金の増額

 積立方式の変更

 管理費算定方法の変更

は、規約変更を伴う場合が多い

※金額変更のみで規約本文を触らない場合でも、総会決議(通常決議)は必須。


【区分所有法】

(規約の設定、変更及び廃止)

第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

2 前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。



10.長期修繕計画と修繕積立金の関係

■ 区分所有法 第30条・第2条(管理行為)

【条文趣旨からの整理】

将来修繕を見据えた資金確保は

👉 適正な「管理行為」

長期修繕計画に基づかない積立金設定は

👉 管理組合の善管注意義務違反と指摘されるリスクあり


【区分所有法】

(規約事項)

第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。

2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。

3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。

4 第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。

5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。

(定義)

第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。

2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。

3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しな建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。

5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定より建物の敷地とされた土地をいう。

6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関す権利をいう。



11.「払わない」「減らしてほしい」は通るのか?

■ 区分所有法 第6条(区分所有者の義務)

【条文趣旨】

区分所有者は、建物の管理に関し、他の区分所有者の共同利益に反する行為をしてはならない。

【実務ポイント】

管理費・修繕積立金の不払いは

 👉 管理不全を招き

 👉 共同利益に反する行為

管理組合は

 👉 督促

 👉 訴訟

 👉 競売請求(法59条)

も可能


【区分所有法】

(区分所有者の権利義務等)

第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内おいて、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。



12.管理費・修繕積立金見直しは「適法か?」

■ 結論:適法、かつ推奨される管理行為

 老朽化対応

 法改正対応

 物価・人件費上昇対応

に応じた見直しは、区分所有法の趣旨(適正な管理)に完全に合致




まとめ

 管理費および修繕積立金は、区分所有法第3条・第19条等に基づく共用部分管理のための法定費用です。

 金額や負担方法は、管理規約および総会決議によって決定され、適正な見直しは、管理組合の責務といえます。

マンション管理支援21世紀研究会

住環境の向上、地域コミュニティ活動の支援、健全で安心なまちづくりの推進を通じて公益の増進に寄与することを目指します。 マンション管理支援21世紀研究会 は、マンションの管理組合や住民のみなさまに対して、わかりやすく中立的な情報を提供することを目的としています。 専門知識に基づいた管理提案、制度の解説、最新の動向(EV充電設備補助金制度など)など、管理組合の運営に役立つ情報をお届けします。

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