令和7年 マンション標準管理規約改正 早急に見直すべきポイント!

 国土交通省は、2025年(令和7年)5月に改正されたマンション関係法(区分所有法等)の施行に向け、管理規約のひな型となる「マンション標準管理規約」を令和7年10月17日に改正しました。

 今回の改正は、建物の高経年化と居住者の高齢化という「2つの老い」の進行など、マンションを巡る様々な課題に対応するためのものであり、総会の開催手続きや決議要件等の重要な内容が含まれています。

 各マンションの管理規約も、改正区分所有法(令和8年4月1日施行)等に適合させるために見直しが必要です。

1.改正の背景

今回のマンション標準管理規約改正の背景は、主に以下の2点です 。

(1)「2つの老い」の進行と課題の顕在化への対応

マンションを巡って、建物の高経年化居住者の高齢化という「2つの老い」が進行しています 。

これに伴い、様々な課題が顕在化しつつあります。


(2)改正マンション関係法(区分所有法等)の施行に向けた対応

上記の状況に対応するため、令和7年5月にマンション関係法が改正されました。

その中核となる改正区分所有法は令和8年4月から施行されます 。

 区分所有法で定められた基本的な事項に対し、より具体的なルールを定める「管理規約」の策定・見直しに当たって参考となるよう、この区分所有法等の改正に合わせて「マンション標準管理規約」も改正することになりました 。



2.標準管理規約の主な改正ポイント

【令和8年(2026年)3月末までに優先して行うべき項目】

① 総会・決議に関する見直し

特別決議も「出席者の多数決」で可能に

総会定足数の見直し(「半数以上」→「過半数」)

バリアフリー化等の共用部分変更決議要件を3/4から2/3へ緩和

マンション再生(建替え・売却・除却)の多数決要件を緩和(4/5→3/4)

📖 関連条項:§47、§43

② 総会招集・通知手続きの変更

議案には「要領」の明示が必要に

重要議案(再生・共用部分変更等)の場合は要件緩和の明記が必要

通知期間を「5日」→「1週間」に延長

📖 関連条項:§43


(総会の会議及び議事)

第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)

は、前条第1項に定める議決権総数の過半数を有する組合員が出席しなけ

ればならない。

2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。

3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前2項にかかわらず、

合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要

し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する

 一 規約の制定、変更又は廃止

 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな

いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123

号)第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)

 三 前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存

行為等

 四 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提

 五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項

4 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前3項にかかわらず、

合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要

し、出席組合員及びその議決権の各3分の2以上で決する

 一 敷地及び共用部分等の変更のうち、次に掲げるもの

 イ 敷地及び共用部分等の設置又は保存に瑕疵があることによって他人

の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれ

がある場合におけるその瑕疵の除去に関して必要となるもの

 ロ 高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減す

ることにより、その移動又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上

させるために必要となるもの

 二 前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存

行為等

 三 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部

分の復旧

5 マンション再生等に係る決議のうち、建替え決議、建物更新決議又は取

壊し決議は、第2項にかかわらず、組合員総数及び議決権総数の各5分の

4以上で行う。ただし、建物が区分所有法第62条(建替え決議)第2項各号

に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、組合員総数及び議決権総数の

各4分の3以上で行う

6 マンション再生等に係る決議のうち、建物敷地売却決議又は建物取壊し

敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地

利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。ただし、建物が区分所有法

第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、組合員総数、

議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上で行う。 

〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

7 前6項の場合において、組合員が書面又は代理人によって議決権を行使

したときは、当該組合員の数は出席した組合員の数に、当該議決権の数は

出席した組合員の議決権の数に、それぞれ算入する。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

7 前6項の場合において、組合員が書面、電磁的方法又は代理人によって

議決権を行使したときは、当該組合員の数は出席した組合員の数に、当該

議決権の数は出席した組合員の議決権の数に、それぞれ算入する。

8 前7項の適用については、所有者不明専有部分管理人は、組合員とみな

す。

9 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権

利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。こ

の場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはな

らない。

10 第3項第二号及び第4項第一号において、敷地及び共用部分等の変更が、

専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その

専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められて

いる組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員

は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

11 第3項第四号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又

は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。

12 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項について

のみ、決議することができる。


(招集手続)

第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の

目的がマンション再生等に係る決議であるときは2か月前)までに、会議

の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その

開催方法)、目的及び議案の要領を示して、組合員に通知を発しなければ

ならない。

2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するもの

とする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部

分の所在地あてに発するものとし、組合員から第31条の3第1項の届出が

あったときは、その届出がされた国内管理人あてに、第67条の4第3項の

届出があったときは、その届出がされた所有者不明専有部分管理人あてに

発するものとする。

3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組

合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、こ

れに代えることができる。

4 会議の目的が敷地及び共用部分等の変更又はこれに伴って必要となる専

有部分の保存行為等の実施に係る決議である場合において、区分所有法第

17 条第5項の規定に基づき、第 47 条第4項の規定により議事を決しよう

とするときは、第1項に定める事項のほか、その旨及び同条第4項第一号

イ又はロに該当する理由をも通知しなければならない。

5 会議の目的がマンション再生等に係る決議であるときは、第1項に定め

る事項のほか、次の事項をも通知しなければならない。 

 二 マンション再生等をしないこととした場合における当該建物の効用の

維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要

する費用の額及びその内訳

 三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容

 四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

 五 建物が区分所有法第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当し、

第47条第5項ただし書又は第6項ただし書の規定により決議を行おうと

するときは、その旨及びその事由

6 マンション再生等に係る決議を目的とする総会を招集する場合、少なく

とも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項につ

いて組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

7 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知

の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。

8 第1項(会議の目的がマンション再生等に係る決議であるときを除

く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を

得て、1週間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することが

できる。



*規約改正が間に合わなかった場合はどうなる?

改正区分所有法 附則(抜粋):法改正に伴う経過措置

施行日(令和8年4月1日)以降、改正区分所有法に抵触する規約規定は効力を失いますが、改正前の規約で定められた事項は一定期間適用され、規約改正が追いつかない場合に法令優先で対応します。​

建替え決議や賃貸借終了請求などの新規定については、施行日以降の事案に適用され、施行前に開始した手続は旧法が準用されます。​

罰則や権利変換手続に関する経過措置も附則で個別に規定され、施行時の既存事案を保護します。

管理組合は施行前に規約見直しを急ぎ、総会で改正区分所有法施行日からの効力発生を明記した決議を推奨。


国交省標準管理規約第71条(単棟型)規約外事項

第71条第1項では、規約及び使用細則等に定めのない事項については、区分所有法その他の法令の定めるところによる、と規定。​

第2項では、さらに規約、使用細則等又は法令のいずれにも定めのない事項については、総会の決議により定めるとしています。​

→規約外事項が発生した場合、まず区分所有法や民法、建築基準法などの法令を確認し、該当がなければ総会で新たなルールを決議します。




【令和8年(2026年)4月以降に行っていく項目】

③ 所在不明区分所有者への対応

所在不明者を総会決議等から除外する手続を新設

📖 関連条項:§67の3【新設】


④ 国内管理人制度の活用

外国在住の区分所有者に代わって「国内管理人」を選任できる制度を整備

📖 関連条項:§31の3【新設】


⑤ 修繕積立金の使途の明確化

再生調査・設計段階への充当が可能

改良工事や管理・運用にも充当可

📖 関連条項:§28


⑥ 財産管理制度の活用

「所在不明専有部分」「管理不全専有部分」の管理制度を活用する手続を新設

📖 関連条項:§67の4、§67の5【新設】


⑦ 損害賠償請求権の代理行使

理事長が損害賠償請求権を代理行使できる規定を新設

📖 関連条項:§24の2【新設】


⑧ 区分所有者の責務の明確化

区分所有者の責務について、法律改正に合わせて規定を整備

📖 関連条項:§20


⑨ 役員・防災・その他の見直し

理事の職務代行者、欠格条項の見直し

役員就任時の本人確認の明記

防災業務、防火管理者規定の追加

喫煙ルールの考え方の明示

📖 関連条項:§32の2【新設】、§35・§36の2 コメント ほか



3.管理組合が取るべき対応

・現行の管理規約と改正内容の差分を確認する

・総会決議の要件や修繕積立金の使途など、運営上影響のある条項を優先的に改正

・区分所有法施行(令和8年4月)までに改正規約を整備


*今回の改正は「法改正に対応するための規約改正」が中心です。未対応の場合、規約が法律と矛盾する恐れがあります。






リンク先>

「マンション標準管理規約」を改正します 国土交通省

  改正後のマンション標準管理規約等  国土交通省



参考資料>

マンション管理支援21世紀研究会

住環境の向上、地域コミュニティ活動の支援、健全で安心なまちづくりの推進を通じて公益の増進に寄与することを目指します。 マンション管理支援21世紀研究会 は、マンションの管理組合や住民のみなさまに対して、わかりやすく中立的な情報を提供することを目的としています。 専門知識に基づいた管理提案、制度の解説、最新の動向(EV充電設備補助金制度など)など、管理組合の運営に役立つ情報をお届けします。

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