区分所有法改正に伴う管理規約改正の総会議案書はこう書く!

 令和8年4月1日に施行される改正区分所有法に対応するため、マンション管理組合は管理規約の変更を急ぐ必要があります。特に、総会の決議要件に関する規定は法律の強行規定に該当するため、施行日までに規約を改正しなければ、その後の総会決議が法的に無効となるリスクがあります。

 今回、対応が最も急務とされる以下の2点に焦点を絞り、管理規約改正のための総会議案書(案)の作成例を解説します。

標準管理規約

第47条:総会決議における多数決要件の見直し(特別決議要件の緩和など)

第43条:総会招集時の通知事項等の見直し(「議案の要領」通知の義務化など)



管理規約改正を進めるにあたっては、

区分所有法や標準管理規約の位置づけを正しく理解することが重要です。

マンション管理規約の基本と最新改正については、

「優先順位別 管理規約改正項目一覧 ー何から改正に着手すべきか 法律・規約」

で体系的に整理しています。


 本記事は【法制度×管理規約】に関する個別テーマの解説です。

制度や考え方の全体像は、

「マンション管理の法律と管理規約の基本と最新改正(主軸)」をご覧ください。




【第〇号議案】 管理規約の一部改正(第47条および第43条)について《特別決議》

議案の目的:

 令和8年4月1日に施行予定の改正区分所有法に対応するため、現行の管理規約のうち、総会の決議要件および招集手続きに関する規定を以下のとおり改正するものです。

 この改正は、法律の強行規定(必ず従わなければならない規定)に合わせるため、速やかに実施する必要があります。



提案理由:

 改正区分所有法では、総会の定足数および特別決議の要件が以下の通り見直されました。

・定足数の見直し:総会成立要件が、「議決権総数の半数以上」から「議決権総数の過半数」に変更されました。

・特別決議の要件緩和:規約の変更など重要な事項に関する決議要件が、「組合員総数および議決権総数の各4分の3以上」から、「組合員総数および議決権総数の各過半数が出席」した上で、「出席組合員およびその議決権の各4分の3以上」の賛成で決議可能となりました(出席者多数決)。

 また、総会招集手続きにおいて、議案の内容をより明確にするため、「議案の要領」の通知が義務付けられ、さらに緊急時の招集期間についても見直しが行われました。

 これらの改正事項は、現行の標準管理規約を法律に適合させるために、速やかに規約を改正しなければ、総会決議が無効となるおそれがあるため、本総会で決議を求めるものです。



決議事項:

 本総会において、管理規約第47条および第43条を改正することのご承認ををお願いいたします。本改正は、法律の施行日(令和8年4月1日)までに完了する必要がある重要な事項です。ご理解とご協力をお願い申し上げます。

 尚、本議案は、管理規約の変更にあたるため、組合員総数および議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要です。



改正内容:

1. 第47条(総会の会議及び議事)の改正:多数決要件の見直し

《現行》

第47 条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。


2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。


3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。

一 規約の制定、変更又は廃止

二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)

三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起

四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧

五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項


4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。


5 マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。


〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

6 前5項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。 

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

6 前5項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。


7 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。


8 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。


9 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。


10 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。 


《改正後》

第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の過半数を有する組合員が出席しなければならない。


2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。


3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前2項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する。

 一 規約の制定、変更又は廃止

 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)

 三 前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等

 四 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起

 五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項


4 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前3項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各3分の2以上で決する。

 一 敷地及び共用部分等の変更のうち、次に掲げるもの

 イ 敷地及び共用部分等の設置又は保存に瑕疵があることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合におけるその瑕疵の除去に関して必要となるもの

 ロ 高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要となるもの

 二 前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等

 三 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧


5 マンション再生等に係る決議のうち、建替え決議、建物更新決議又は取壊し決議は、第2項にかかわらず、組合員総数及び議決権総数の各5分の4以上で行う。ただし、建物が区分所有法第62条(建替え決議)第2項各号に掲げるいずれかの事由(建替えがやむを得ないか、著しく合理的な理由)に該当する場合は、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上で行う。


6 マンション再生等に係る決議のうち、建物敷地売却決議又は建物取壊し敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。ただし、建物が区分所有法第62条第2項各号に掲げるいずれかの事由(建替えがやむを得ないか、著しく合理的な理由)に該当する場合は、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上で行う。


〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

7 前6項の場合において、組合員が書面又は代理人によって議決権を行使したときは、当該組合員の数は出席した組合員の数に、当該議決権の数は出席した組合員の議決権の数に、それぞれ算入する。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

7 前6項の場合において、組合員が書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使したときは、当該組合員の数は出席した組合員の数に、当該議決権の数は出席した組合員の議決権の数に、それぞれ算入する。


8 前7項の適用については、所有者不明専有部分管理人は、組合員とみなす。


9 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。


10 第3項第二号及び第4項第一号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。


11 第3項第四号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。


12 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。



2. 第43条(招集手続)の改正:通知事項等の見直し

《現行》

第 43 条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却 決議であるときは2か月前) までに、会議の日時、場所(WEB 会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員通知を発しなければならない。


2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとる。


3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。


4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第 47 条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議若しくはマンション敷地売却決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。


5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。

一 建替えを必要とする理由

二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳

三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容

四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額


6 会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第 4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなけれ ばならない。

一 売却を必要とする理由

二 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項

イ  マンションが円滑化法第 102 条第2項第一号に該当するとして同条第1 項の認定( 以下「特定要除却認定」という。)を受けている場合  

次に掲げる事項

(1) 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成 7年法律第 123 号)第2条第2項に規定する耐震改 修又はマンションの建替えをしない理由

(2) (1)の耐震改修に要する費用の概算額

ロ  マンションが円滑化法第 102 条第2項第二号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合

次に掲げる事項

(1) 火災に対する安全性の向上を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由

(2) (1)の改修に要する費用の概算額

ハ  マンションが円滑化法第 102 条第2項第三号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合  

次に掲げる事項

(1) 外壁等の剝離及び落下の防止を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由

(2) (1)の改修に要する費用の概算額


7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。


8 第 45 条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。


9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。



《改正後》

第 43 条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的がマンション再生等に係る決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB 会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)、目的及び議案の要領を示して、組合員に通知を発しなければならない。


2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとし、組合員から第 31 条の3第1項の届出があったとき は、その届出がされた国内管理人あてに、第 67 条の4第3項の届出があったときは、その届出がされた所有者不明専有部分管理人あてに発するものとする。


3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。


4 会議の目的が敷地及び共用部分等の変更又はこれに伴って必要となる専有部分の保存行為等の実施に係る決議である場合において、区分所有法第 17 条第5項の規定に基づき、第 47 条第4項の規定により議事を決しようとするときは、第1項に定める事項のほか、その旨及び同条第4項第一号イ又はロに該当する理由をも通知しなければならない。


5 会議の目的がマンション再生等に係る決議であるときは、第1項に定める事項のほか、次の事項をも通知しなければならない。

一 マンション再生等を必要とする理由

二 マンション再生等をしないこととした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳

三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容

四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額五 建物が区分所有法第 62 条第2項各号に掲げるいずれかの事由に該当し、第 47 条第5項ただし書又は第6項ただし書の規定により決議を行おうとするときは、その旨及びその事由


6 マンション再生等に係る決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。


7 第 45 条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。


8 第1項(会議の目的がマンション再生等に係る決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、1週間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。





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