~令和7年マンション関係法・標準管理規約改正を踏まえて~
管理規約改正を進めるにあたっては、
区分所有法や標準管理規約の位置づけを正しく理解することが重要です。
マンション管理規約の基本と最新改正については、
「優先順位別 管理規約改正項目一覧 ー何から改正に着手すべきか 法律・規約」
で体系的に整理しています。
1.法改正の背景
マンションの「老朽化」と「居住者の高齢化」が同時に進行し、総会の開催・決議が困難化する一方、建物の安全性確保や再生への対応が急務となっています。
こうした課題に対応するため、令和7年に区分所有法・マンション関係法・標準管理規約が改正されました。
管理組合は、これらに適合するよう規約・運営・修繕計画を順次見直す必要があります。
2.最優先で見直すべき5つのポイント
① 総会・決議運営の見直し(区分所有法 、規約第47条ほか)
・特別決議の母数が「総数」から「出席者」基準に変更
・出席者による多数決が可能に。意思形成を妨げていた「無関心層」、「所在不明者」を母数から除外。
・共用部分変更・バリアフリー化の決議要件を緩和(3/4→2/3)
・定足数は「過半数」明記に統一
▶対応策
・管理規約の改正(標準管理規約に準拠)
・総会定足数・決議要件の整理、議案書フォーマットの更新
・出席・委任・議決権行使書の扱いルール明確化
【改正区分所有法】
(議事)
第39条
集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。
(以下略)
(共用部分の変更)
第17条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。第五項において同じ。)は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項及び第三項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三(これを下回る割合(二分の一を超える割合に限る。)を規約で定めた場合にあつては、その割合)以上の多数による集会の決議で決する。
(以下略)
② 所在不明・海外区分所有者への対応
・所在不明区分所有者の決議除外制度(新設 規約第67条の3)
・国内管理人制度(新設 規約第31条の3)
▶対応策
・所在不明者の調査体制を整備(登記簿・郵便返送確認など)
・規約で国内管理人の届出義務・不在時の扱いを定める
・総会招集通知先・掲示対応の見直し
【改正区分所有法】
(所在等不明区分所有者の除外)
第38条の2 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者の請求により第一項の裁判があつたときは、当該一般区分所有者は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。ただし、管理者がないときは、その旨を建物内の見やすい場所にけいじしなければならない。
(国内管理人)
第6条の2 区分所有者は、国内に住所又は居所(法人にあつては、本店又は主たる事務所。以下この項及び第三項において同じ。)を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所又は居所を有する者のうちから管理人を選任することができる。
2 前項の規定により選任された管理人(次項及び第四項において「国内管理人」という。)は、次に掲げる行為をする権限を有する。
一 保存行為
二 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
三 集会の招集の通知の受領
四 集会における議決権の行使
五 共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につきの区分所有者に対して負う債務又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して負う債務の弁済
3 区分所有者は、第一項の規定により国内管理人を選任した場合において、管理者があるとき、又は管理組合法人が存立するときは、遅滞なく、管理者又は管理組合法人に対し、国内管理人を選任した旨並びに国内管理人の氏名又は名称及び住所又は居所を通知しなければならない。
4 区分所有者と国内管理人との関係は、第二項に定めるもののほか、委任に関する規定に従う。
国土交通省資料より
▲管理の円滑化等の推進 国土交通省資料
③ 修繕積立金の使途と再生対応
・新たな再生手法(更新・売却・取壊し)にも積立金を活用可能に
・性能向上改修(改良工事)も対象明記
▶ 対応策
・「修繕積立金使用細則」等の見直し
・長期修繕計画に再生・改良費用を反映
・修繕積立金の運用・管理体制を明文化(理事会決裁・理事長権限)
④ 理事会運営と役員体制の強化
・理事職務代行者制度、本人確認ルールの新設(コメント追加)
・役員欠格条項の見直し(会社法等を参照)
▶対応策
・理事会規約・細則で代行者の範囲と手続きを明確化
・役員選任時に本人確認書類を提示
・役員任期・選任プロセスの透明化
⑤ 防災・防火・喫煙などの生活安全ルール
・管理組合が取り組むべき防災関係業務の明確化(§32の2)
・防火管理者の設置例規定追加
・喫煙ルールの定め方をコメントで提示
▶対応策
・防災マニュアルの整備、避難訓練の実施
・防火管理者・防災委員の役割明記
・バルコニー・共用廊下等での喫煙禁止の規約化
3.中期的に取り組むべきテーマ
▲中期的に取り組むべきテーマ
4.まとめ:今後のステップ
① 改正内容を理事会で整理(専門家・管理会社と共有)
② 管理規約改正の要否を判定(区分所有法抵触箇所を優先)
③ 総会承認・改正実施(標準管理規約改正令和7年版準拠)
④ 長期修繕計画・防災計画・運営細則を連動見直し
【ポイント1 】区分所有法改正に伴い、現行管理規約が失効する条文がある。
【ポイント2】 改正区分区分所有法に追加されたため、標準管理規約に新規記載された条文がある。
�参考資料
国土交通省「令和7年マンション関係法改正概要」
国土交通省「令和7年マンション標準管理規約改正概要」
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